Random acts of conversation at the Manor
とある日のメリー邸での話題
本日の話題:”tapering”
最近、経済・金融の分野で tapering をよく耳にするようになりました。
「段階的縮小」と訳さ連絡る tapering ですが、実際には連邦準備理事会(the Fed/FRB = Federal Reserve Board )がコロナ禍において行ってきた景気刺激策を徐々に縮小し段々とゼロに戻す、具体的には連邦公開市場委員会 (FOMC = Federal Open Market Committee)が債券購入のペースを徐々に緩めることを指します。

もともと taper には、(先端に向かって) 徐々に細くなる、細くする や、徐々に量が減る、減らす と意味があります。徐々に縮小する、ということで、tapering が金融政策のことばとしても用いられています。

ちなみに、ここから派生した taper tantrum という表現がありますが、これは ”tapering“ と、(子供の起こす)かんしゃくを意味する “temper tantrum” を組み合わせた(temperをtaperに変更した)造語で、「市場のかんしゃく」といった意味。中央銀行による tapering (量的緩和の段階的縮小)によって市場が動揺した状態を表す言葉です。
もともと、“temper tantrum” は ”throw a (temper) tantrum (駄々をこねる、癇癪をおこす)” という用いられ方をします。つまり、市場が「だだをこねている」といったニュアンスになります。
2013年に聞かれることとなったこの表現ですが、今回もまた同様の”taper tantrum”が起こるのではないかと、グリーンスパン元議長などが懸念を示した際に再び浮上しました。
さて、tapering は技術の現場でも出てきます。 例えば、救命艇などの外装に使われるFRP (fiber reinforced plastics 繊維強化プラスチック) に、穴があいてしまった、あるいは陥没してしまった場合、その修理工程で tapering という表現が使われることがあります。ダメージを受けた断面をテーパリングする(徐々に狭くなるようにけずる)、とか、強度を確保するために、少しずつ大きさを変えた (テーパリング) したガラスマット (ply) を貼り合わせる、など。

また生活で馴染み深いところでは、形容詞の tapered を使って、tapered trousers (裾に向かって細くなっていくパンツ)、tapered at the waist(ウェストが絞られた)、tapered rolling pin(先が細くなっているめん棒)などが思い浮かびます。
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